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スタートアップへの投資および事業伴走の実例:薬局業界のスタートアップ企業の事業拡大

2024.11.13

他社にはない、事業拡大・再生へのアプローチ

当社は、単なるコンサルティングに留まらず、自ら出資や買収を行い、企業の事業拡大や事業再生に取り組んでいます。この点が、他の財務コンサルティング企業とは一線を画しています。例えば、処方箋なしで医薬品が購入できる零売制度を導入した薬局の普及を目指していたスタートアップ企業に対し、当社は出資を行い、その事業拡大を支援しました。

1店舗での零売制度の浸透には限界がありましたが、当社のハンズオン支援により、企業の法人体制の整備と、ビジョンを共有する薬局チェーンへの譲渡を実現。これにより全国展開が加速し、成功事例のひとつとなりました。

零売制度とスタートアップ企業への支援

まず「零売」とは、薬局が処方箋を持たない患者に対して医薬品を販売する制度であり、日本における医療用医薬品約14,500種類のうち、約7,000種類がこの制度で販売可能です。患者にとっては、診断料や時間の節約ができるメリットがあります。こうした制度を活用するスタートアップ薬局に対して、当社は資本提携を行い、さらなる事業展開を目指しました。

事業計画の策定とエクイティ調達のサポート

出資後、当社が最初に取り組んだのは、「エクイティ調達のための事業計画の策定」でした。具体的には、財務三表(PL、BS、CF)と管理会計のPLを作成し、5年後の必要資金の算出や資本政策、そして社員一人ひとりの行動計画を設定しました。計画は月次で予実管理を行い、事業計画を柔軟にアジャストしていくことで、事業の推進をスムーズに進めました。

その結果、金融機関系のベンチャーキャピタルから5,000万円の調達に成功。その後も数回にわたって、エクイティとデッドの調達計画を担当しました。

多岐にわたるサポートと企業成長の実現

当社は、財務面だけでなく、「上場計画の策定」「マーケティング支援」「店舗開発支援」「採用支援」「経営メンバーのBizDev採用支援」「オープンイノベーション公募支援」など、幅広い分野でサポートを提供しました。結果として、元々1店舗の個人商店だった薬局が、全国25店舗へと拡大し、50人以上の薬剤師を抱える組織に成長しました。

事業計画は「夢の言語化」

事業計画は、単なる義務ではなく、企業の夢を言語化するものです。資金調達に成功するためには、熱意のある計画が必要です。また事業計画の策定において重要なのは、計画に「根拠」があるかどうかです。どんなに優れた計画でも、それが市場規模や物理的な実現可能性、そして経験に基づいていなければ、机上の空論にすぎません。

例えば、店舗開発においては、出店場所をいくつかのパターンに分け、実際に現地調査を行いました。1日の来店数や1週間の通行量、顧客単価など、具体的な数字を反映させ、事業計画に説得力を持たせました。

まとめ

当社が関わった事業計画の目的は、企業成長のための資金調達にありました。その成功の鍵は、過去の実績を尊重し、市場動向をベンチマークしながらも、何よりも「根拠」に基づいた計画を作成することにあります。これが、企業成長を実現するための真の事業計画です。